NPO相談


 
 
 
事業報告書は NPO 法人の義務ですが、
むしろ積極的なアピールのツールとして作りましょう!
 
 
❚提出しない場合は法人格の取り消しも!
NPO法人は、事業報告書などを事業年度ごとに所轄庁に提出しなければなりません。
それらの報告書は、事業年度終了後に作成し、3か月と1週間以内に提出しなければなりません。(3月で事業年度が終了する場合、提出期限は7月の第1週になります。)
 
提出する必要がある書類は、以下のとおりです。
①事業報告書等提出書 (いわゆるかがみ文)
②事業報告書 (どんな事業をしたかを示す)
③活動計算書
④貸借対照表
⑤財産目録 ※③~⑤はお金の動きを示す
⑥年間役員名簿(前事業年度内の就任期間を記載したもの)
⑦社員のうち10人以上の者の名簿(前事業年度末日のもの) ※➅~➆は会員構成を示す
※①~⑦の様式例・記載例は、静岡市のホームページ https://www.city.shizuoka.lg.jp/000_002180.html からダウンロードできます。
 
毎年度の事業報告書などの提出は、NPO法人の義務となっております。 提出しない場合、法人格を取り消される可能性もありますので、ご注意ください。
なお、事業報告書などを提出するにあたっては、定款に定められた手続きを踏む必要があります。 多くの場合、作った書類を理事会で確認し、監事の監査を受け、総会での承認を得てからの提出となります。それらの手続きを踏むためにも、早めに準備をしましょう。
 
❚団体の価値を伝えるコミュニケーション・ツール
ただし、事業報告書を単に法的な義務として捉えるのではなく、 団体の価値を伝えるコミュニケ ーション・ツールとして積極的に位置づけることをお勧めします。
まず、事業報告書を“活動”報告書から“成果”報告書へと意識転換を図ることが必要です。NPOの活動の成果とは、「社会に対して新しい価値を提供すること」と「社会に存在する課題を解決すること」の2つです。 自団体の活動における成果を定義した上で、達成すべき目標(定性・定量)を設定しましょう。
成果が伝わるために前提となる要素は3つ。
①妥当性
社会課題の規模感や緊急度、深刻度と自団体の活動の特徴や優位性を伝えます。
②納得性
設定した目標や実績に対する根拠を提示します。明確な定性目標と定量目標、受益者・ 参加者・スタッフ・第三者の声を記載し、客観性を確保します。
③伝達性
成果の伝え方のテクニックを習得・駆使します。分かりやすいキャッチコピー、数字、 画像、グラフ、表などを用いましょう。
 
❚成果報告書へと変身させよう!
現状では、多くのNPO法人の事業報告書には、事業のアウトプット(実施したこと)しか書かれていません。しかし、事業報告書は単なる結果報告ではなく、 団体のサポーターを増やすためのツールとして活用できます。アウトカム(実施した事業に対する対象者の反応)を盛り込んで、団体の価値を伝える「成果報告書」へと変身させましょう。
成果報告書の構成とポイントを6つご紹介します。
①表紙・目次
一目で分かるような画像とキャッチコピーを使用します。
②イントロダクション
代表の挨拶、団体の理念、中長期計画、活動年表を載せます。
③前年度の事業別報告
全体を読まなくても分かるように 要点を強調しましょう。
④前年度の収支会計報告
グラフを活用し、収入と支出の特徴を分かりやすく伝えます。
⑤団体情報
組織図、運営状況などの他に 支援者に対するお礼や支援メニューも掲載します。
⑥その他
参加者や受益者、支援者の声や写真、スタッフのコメント等も重要な要素です。
 
成果報告書が完成したら告知をします。団体のウェブサイトにはPDF版を掲載しましょう。
さらには、どれくらいサポーターや寄付が増えたかなどの効果を測定して、次なる改善へとつなげましょう。
 
参考資料:長浜洋二『NPOのためのマーケティング講座』学芸出版社、2014 年